2021年に政府が国会に提出した入管法改定案は、入管の権限をさらに強化し、移民・難民の排除につながるものでした。当事者を含む市民社会から反対の声が上がり、この法案は廃案となりましたが、政府は再提出の姿勢を崩していません。
集会では、当事者・支援団体・弁護士より、入管法改定案や現行の入管収容・難民認定制度の課題が示されました。また、国会議員19名、国会議員秘書24名、メディア関係者30名、一般参加者約50名の会場参加をいただき、国会議員の皆様より入管行政や難民保護の本来あるべき姿を求める力強いご発言をいただきました。
集会の様子は、以下記録動画にてご視聴いただけます。
当日のプログラム
1. 入管法政府案の課題とあるべき姿 ~入管法政府案はウクライナ難民を救えるのか~
児玉晃一弁護士(全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い)
入管法改定案の問題点について報告がありました。ウクライナ難民の保護を口実として法案再提出を目指す政府の姿勢を「火事場泥棒」に例え、排除ではなく共生に向けた制度改善の必要性が訴えられました。
2. 当事者の声
アフリカ出身の難民申請者からは、助けを求めてやってきた日本で、入管職員による暴力を受け、生活に困窮し、犯罪者のように扱われる状況が報告されました。難民申請中の仮放免者の家族からは、収容で受けた過度なストレスが家族に与える影響や、家族がある日突然バラバラにされることの辛さを自分の身になって考えてほしいとの訴えがありました。最後に、4年半の収容を経験した仮放免者より、人間としての権利や日本で生きる自分の存在を認めてほしいとの切実な訴えともに、人間すべてが持っているはずの権利を奪う権利が入管に与えられていることへの疑問が示されました。3. ウィシュマさん死亡事件 最近の動きを中心に
駒井知会弁護士(入管を変える!弁護士ネットワーク)
2021年3月6日に名古屋入管で亡くなったスリランカ出身のウィシュマ・サンダマリさんが、衰弱し、死に至るまでの状況についての報告がありました。ウィシュマさんを救うことができなかった要因に国際人権法に反する日本の収容制度があることや、ウィシュマさんが生きていくことができた世界を目指す、ご遺族・弁護団の活動が紹介されました。
4. 難民受入れの格差と難民保護法の必要性 〜ウクライナ・アフガニスタン・ミャンマーの受入れを中心に〜
難波満弁護士(全国難民弁護団連絡会議)
ウクライナ難民の受け入れ状況と、アフガニスタン・ミャンマーを含む様々な国から逃れた難民の受け入れ状況の差が指摘され、抜本的な状況改善に向けた、難民保護法制定の必要性が示されました。
5. 移民・難民は民主主義を体現する
鳥井一平氏(移住者と連帯する全国ネットワーク)
日本社会の一員として長年暮らす人々が、「非正規」の存在として、追い詰められる状況が報告されました。移動の自由を体現する移民・難民は、民主主義を体現する存在であり、排除ではなく共生こそが、私たちが目指す方向性であることが示されました。
集会にご参加いただいた国会議員からは、入管法改定案の再提出に反対する市民社会との連帯の声、ウィシュマさんを死に至らせた政府の責任を問う発言や、国会での議論に対する意気込み、入管体制の抜本的な見直しや難民保護状況の改善に向けた法律の策定を目指す発言がありました。
ご参加いただいた国会議員の皆さま
阿部とも子 衆議院議員(立憲民主党)石垣のりこ 参議院議員(立憲民主党)
石川大我 参議院議員(立憲民主党)
石橋通宏 参議院議員(立憲民主党)
打越さく良 参議院議員(立憲民主党)
大河原まさこ 衆議院議員(立憲民主党)
逢坂誠二 衆議院議員*(立憲民主党)
金子道仁 参議院議員(日本維新の会)
鎌田さゆり 衆議院議員(立憲民主党)
川合孝典 参議院議員*(国民民主党)
近藤昭一 衆議院議員(立憲民主党)
岸真紀子 参議院議員(立憲民主党)
串田誠一 参議院議員(日本維新の会)
鈴木庸介 衆議院議員*(立憲民主党)
髙良鉄美 参議院議員(沖縄の風)
辻󠄀元清美 参議院議員*(立憲民主党)
寺田静 参議院議員*
寺田学 衆議院議員*(立憲民主党)
西村智奈美 衆議院議員*(立憲民主党)
仁比聡平 参議院議員(日本共産党)
羽田次郎 参議院議員*(立憲民主党)
福島みずほ 参議院議員(社民党)
牧山ひろえ 参議院議員(立憲民主党)
本村伸子 衆議院議員(日本共産党)
山添拓 参議院議員(日本共産党)
山田勝彦 衆議院議員(立憲民主党)
早稲田ゆき 衆議院議員(立憲民主党)
渡辺創 衆議院議員*(立憲民主党)
(五十音順)
*印は秘書代理参加
2023年通常国会への政府による入管法改定案の再提出が予想されます。移民・難民の排除につながる法案ではなく、現行制度でもなく、共生に向けた抜本的な制度改善の実現に向けて、引き続き、ご注目いただければ幸いです。
2022年10月6日
院内集会「入管法は今が岐路――排除をやめて共生へ」主催・協力団体一同
主催:「STOP!長期収容」市民ネットワーク」
構成団体:公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)
全国難民弁護団連絡会議、認定NPO法人 難民支援協会
日本カトリック難民移住移動者委員会
入管問題調査会
全件収容主義と闘う弁護士の会ハマースミスの誓い
特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ
協力:
#FREEUSHIKU
Save Immigrants Osaka
外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)
外国人人権法連絡会
人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)
特定非営利活動法人 なんみんフォーラム、反差別国際運動(IMADR)
反貧困ネットワーク
フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)
問い合わせ:openthegateforall@gmail.com